MESSAGE -ごあいさつ-

「人生を立ち止まって考える機会を、半導体の会社が提供できたら面白い。」そんなアイディアから、Wairua(ワイルア)は令和6年1月に株式会社ダブリュー・ビィ・ジャパンの社会貢献プロジェクトとして始まりました。

プロジェクト発起人である私は、その自然の美しさや先住民の生き方に魅了され、ニュージーランドを何度も一人旅してまわったことがあります。そこで学んだ倫理観は私の人生に大きく影響し、その素晴らしさをより多くの方とシェアしたいという想いから、ニュージーランド先住民・マオリ族の言葉をプロジェクト名に選ばせていただきました。

さて、近年よく耳にする言葉に「ウェルビーイング」というものがあります。ウェルビーイングとは「肉体・精神・社会的に良い状態であること」を指すそうです。ニュージーランドはウェルビーイング先進国と呼ばれており、政府は環境保護政策と同様に国民のウェルビーイング支援にも積極的に取り組んでいます。

先住民が守る樹齢約2000年のタネマフタ

その政策において、個人的に大変興味深く感じているのが「’思いやり・共感・幸福’の視点を持つ」という主張がされていることでした。私自身、現地で倫理観が変わるような体験をしたのですが、それはひとえに、ニュージーランド現地の人々から学び取った「思いやりの大切さ」や「気軽に共感し合える嬉しさ」だったからです。当時、日常のいたるところに、助け合いや分け合う精神性が映し出されているように感じられたのです。

その後、先住民の人々とより深い交流を重ねる機会をいただき、彼らが先祖代々に伝えている叡智と、そこに築かれた精神性が、今なおニュージーランドの人々に影響を与えていることに気づかされました。

はじめてNZに降り立った人物「クペ」

先住民マオリ族に受け継がれる伝統と叡智には、現代人が改めて気がつき、取り戻すべき豊かな叡智と自然とのつながりがあるのかもしれません。

彼らの考え方では、自然はもちろん、物や肉体すら神様からお借りしているもので、何かを所有することがありません。そして、分け与えることが暮らしの一部になっているので自然に循環を生んでいます。また、問題は部族のコミュニティで話し合って解決するため、分離よりも共に成長する形になっていました。その古から受け継がれた精神性が、現在のニュージーランドがウェルビーイング先進国と定義される源を生んでいるのではないかと感じているのです。

安住の地を求めた「クペ」がたどり着いたホキアンガビーチ

日本をはじめとする経済成長国にとって、「幸福」は、もはや「物質的な豊かさ」にはつながらず、人々はより自身の生活や人生に対する質「クオリティオブライフ」を求めるように変化しています。

私自身、先住民の精神性から学んだことをもとに「真の豊かさとは?」という問いを忘れずにいたいと思っています。そして、「テクノロジー」と「サイエンス」を活用して、Wairua(ワイルア)が持続可能でコンシャスな社会づくりへと貢献できるよう精進して参ります。

水から、自ら。

令和6年1月 プロジェクト発起人 小松理恵